2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

拓海広志「『るにんせん』に寄せて」

故團伊玖磨氏が八丈島と縁深く、氏のアトリエがあった樫立で毎年「團伊玖磨先生を偲ぶ会」が催されていることは知っていましたが、僕はこの小説を読んで團紀彦氏の八丈島への思いとその歴史や文化への造詣の深さについても知りました。 『るにんせん』は、天…

拓海広志「『Facing Future』に寄せて」

八丈島の海で早朝から夕方まで、独りでひたすら泳ぎ込んだ。その爽快な疲労を森の温泉で癒した後、ぶらりと立ち寄ったカフェは古民家の広間を利用して営まれており、素朴で自然と調和したたたずまいが居心地良い。畳に座って庭の木々の緑を眺めながらコーヒ…

拓海広志「『ローゼ・ベルント』に寄せて』

調布の仙川という街で燐光群の芝居を観た。学生時代の僕は暇さえあれば芝居を観に行っていたのだが、今でもよく足を運ぶのは学生時代からの友人・古田新太さんが活躍する劇団☆新感線、僕が縁あって応援団に名を連ねている劇団ふるさときゃらばん、そして燐光…

拓海広志「『ダイバー漂流』に寄せて」

僕は長時間をかけて海で泳いだり、素潜りして遊ぶのが大好きだ。長い時間泳いでいると、徐々に身体が海水に溶け出していき、どこまでが自分の身体で、どこからが海なのかハッキリしないような不思議な感覚になるが、それがまた心地よいのだ。しかし、本書を…

拓海広志「『ナツコ 沖縄密貿易の女王』に寄せて」

太平洋戦争前後の動乱期に、沖縄、八重山、フィリピン、台湾、香港、そして神戸を結ぶ海を駆け巡って生きた女性ナツコの物語です。 ナツコと同時代を生きた人には大浦太郎、照屋敏子といった著名人もいますが、僕は本書を読んで初めてナツコが沖縄の人々の心…