拓海広志「『象徴天皇という物語』に寄せて」
『異人論序説』の著者として知られる赤坂憲雄氏は、その著書『王と天皇』において「関係論」の一種である「異人論」を使って天皇に迫りました。
山口昌男氏の王権論などを援用して展開された赤坂氏の天皇論は大変興味深いものでしたが、「この方法では天皇制の中にも普遍的王権論で説明がつく点があるということは語れるものの、天皇制に固有な部分は見えてこない」と指摘したのは吉本隆明氏でした(『新・書物の解体学』)。
その後、吉本氏との対談『天皇制の基層』を経て、赤坂氏が発表したのが『象徴天皇という物語』です。
本書は「異人論」だけに寄りかかって天皇を語るのではなく、より深く天皇制の固有構造に迫ったもので、僕は非常に感銘を受けました。
そして、今後天皇あるいは天皇制について語る際に、この著作を無視して通ることは出来ないように思います。
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拓海広志『天皇と自然(1)』
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