拓海広志「遠軽にて・・・」
北海道の旭川、そして遠軽に住んでいた母方の祖母が亡くなったので、久しぶりに遠軽を訪ねることになった。祖母は若かりし頃に宝塚歌劇団で活躍したこともあり、歌とダンスをこよなく愛する人だったが、その影響を受けた育った僕の従妹はバレリーナとなり、現在は遠軽でバレエスタジオを経営している。
遠軽の地名は、町のシンボルとも言える高さ78メートルの奇岩「瞰望岩(がんぼういわ)」からの眺望に由来し、アイヌ語で「インガルシ」=「見晴らしの良いところ」という意味だという。確かに瞰望岩の上からの眺めは素晴らしく、遠軽市街と湧別川、生田原川、またロックバレーなどの山々がきれいに見える。
同じ北海道でも、道央・道南部と道東・道北部では随分雰囲気が異なる。道東と道北を併せると、面積的には北海道の半分以上となるが、人口的には2割程度にしかならず、北海道の人口は道央と道南に集中しているのだ。そのせいか、道東・道北部を旅していると、何とも広々した感じがして、森は深く、空は高く、そして海は蒼黒く見える。
祖母へのお別れの挨拶を終え、僕は丸瀬布の森を訪ねた。滝が多く、心地よい空気の漂う場所だ。ここにはなかなか瀟洒なプチホテルがあり、とても泉質の良い温泉が湧いている。ホテルの露天風呂に身を浸しながら、丸瀬布の森の空気を胸いっぱい吸い込むと、何ともゆったりした気持ちになってくるのが嬉しい。
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