拓海広志「台風一過の伊豆の海」

　台風一過の週末。僕は20年来の海仲間・柴田雅和さんと共に、松崎をベースにして南伊豆〜西伊豆の海をボートでクルージングしていました。堂ヶ島の奇岩めぐりをし、安良里では加山雄三さんの「光進丸」と出会い、そしてきれいな入り江を見つけるとアンカーを落として、そこでシュノーケリングをしたりしながらの「のんびりクルーズ」です。空気は素晴らしく澄んでいて、西には御前崎、北には富士山を望むことができましたし、石廊崎あたりからは大島、神子元島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島がくっきりと見えました。

　弓ヶ浜から石廊崎、妻良、波勝崎、雲見、松崎、堂ヶ島、安良里、宇久須にかけての海岸線は美しく、海から岸を眺めていると飽きることがありません。20歳過ぎの頃に初めて石廊崎を訪ね、岬の突端にある石室神社と熊野神社の間に身を横たえて星を眺めながら一夜を明かして以来、僕はこのあたりの海と町を訪ねては、泳いだり、潜ったり、あるいはカヤックを漕いだりしてきました。中でも松崎は大勢の人が訪れる観光地ではあるけれど、海や山とよく調和し、落ち着いた風情のある素敵な町で、僕がこれからも通い続けたい場所の一つです。

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