拓海広志「『守護神』に寄せて」
最初にこの映画のタイトルを聞いたときに「守護霊」と読み違え、心霊映画なのかと勘違いしてしまいましたが(笑)、実はアラスカの海で黙々と遭難者たちを救い続けた真の海の男の物語であることを知り、胸が熱くなりました。
2005年の夏にハリケーン・カトリーナがメキシコ湾岸諸州を襲った際に3万3千人を越す人々を救助・避難させたことで、アメリカ沿岸警備隊の活躍に世間の耳目が集まりましたが、彼らは常日頃からこうした救難活動を人知れず行っているのです。
ケビン・コスナー演じるベン・ランドールは200人以上もの遭難者の命を救ってきた伝説の救難士ですが、彼にとって重要なのは救った人の数ではなく、救えなかった人の数でした。ベンに教えを受けたジェイク・フィッシャー(アシュトン・カッチャー)はその熱い思いを引き継ぎ、立派な救難士へと成長します。
海の素晴らしさと怖さ。それに挑む人の勇気の崇高さ。そして仲間への信頼と思いやりの大切さ。こうしたものを静かに伝えてくれるこの映画は、本物の海の男たちに捧げられたオマージュなのでしょう。
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