拓海広志「『UDON』に寄せて」
学生時代の僕はよく神戸や宇野から高松まで船で渡り、自転車やバイクで香川県の各地を巡りながらうどんの食べ歩きみたいな旅をしたものです。そんな経験があっただけに、この映画に出てくる「麺通団」の取材活動を見て、とても懐かしい気持ちになりました。
史実は明らかではありませんが、饂飩(うどん)は空海が唐から日本に伝えた索餅に由来するとされています。その弘法伝説のせいなのかどうかはわかりませんが、讃岐の人たちのうどんへのこだわりと愛情の深さ、また日常食としてのうどんの浸透度は他の地域の比ではありません。
讃岐には、人里離れた辺鄙な場所や、逆にごく普通の住宅街の一角で麺を打つ小さな製麺所がたくさんあります。この映画の中でも表現されているように、そうした製麺所の多くは店の看板は掲げてなくても、「うどん屋」として地域の人たちにうどんを供します。
この製麺所で食べるうどんは実に美味いのですが、ユースケ・サンタマリアさん演ずる松井香助たちが結成した「麺通団」がソウルフーズとして取り上げたのも、こうした地域に密着したうどんでした。しかし、実はそれを誰よりも深く実践していたのが、香助のお父さんが一人で切り盛りしてきた松井製麺所だったのです。。。
讃岐うどんの良さは、店も客も妙に粋がったり通ぶったりしないことで、その野暮ったい大らかさに包まれているととても幸せな気分になってきます。この映画を観て、久しぶりに讃岐へ行ってみたくなりました。あ、ブームに乗っちゃダメかな!(笑)
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