拓海広志「『柳に風』に寄せて」

 古田新太さんの『柳に風』は、実に楽しいコラム集でした。僕は「劇団☆新感線」デビュー前からの古田ファンなので、この本に書かれていた神戸時代の思い出話や大阪時代の逸話を読んで、懐かしさのあまりとても嬉しくなりました。でも、それ以上に嬉しかったのは、文章に表現されている古田さんの感覚が昔のワルガキ時代のまま変わってないことだったのかも知れません。


 「自分をよく見せよう」みたいなあざとさの全くないストレートな文章だし、たぶん元ネタは全て事実なんだろうけど、どこからどこまでがホントの話で、どこからどこまでが作り話なのかハッキリしない。こういう文章を書ける古田さんはいいですね。だから、つい「お主もなかなかのワルよのぉ〜」と言いたくなってきます(笑)。


 舞台役者、映画俳優としての古田さんの魅力は既に多くの人が知るところですが、この人はミュージシャンとしても物書きとしても、若い頃から多才&異能ぶりを発揮していました。本書を手にした人はその片鱗を知り、きっと「もっと読んでみたい!」と思ったことでしょう。僕もその一人で、是非次作を読みたいと願っています。


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柳に風

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