拓海広志「『善悪の彼岸』&『道徳の系譜』に寄せて」
学生時代にニーチェの『善悪の彼岸』と『道徳の系譜』を読んだ時に、僕の心に残ったアフォリズムを幾つか抜粋してみます。
「いたわりつつ殺す手を見たことのない者は、人生を厳しく見た人ではない」
「道徳的現象なるものは存在しない。あるのはただ、現象の道徳的解釈だけである」
「全ての民族は特有の偽善を持っており、それをおのれの美徳と称する」
「人はまず悪い敵を、すなわち悪人を考想する。そしてこれを基礎概念として、さらにもう一人の善人を案出するが、これこそが自分自身なのだ」
「正義の精神において占領された最後の地域は、反動感情の地域であった」
ニーチェの言葉はとても明快なのですが、現実の世界では偽善的な道徳や正義はなかなか絶えぬもののようです。
(無断での転載・引用はご遠慮ください)
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