拓海広志「『無常の構造』に寄せて」
日本人の自然観や社会観を語る上で見落とすことができないものとして、無常観をあげることができます。
磯部忠正氏は、自然を宇宙の生命リズムとして読みとり、それに合わせて生きるべきだとする日本古来の思想が無常観の根底にあると語ります。
この思想によって、人間の意図や作為すらも自然のリズムとして肯定されると共に、その挫折や死もまた自然のリズムとして受け入れられていくのが「無常観」なのです。
無常であるが故に日々を精一杯生きる。しかし、無常であるが故にその結果には固執しない。そんな日本的人生観が何に由来するのかを教えてくれる本として、磯部忠正氏の『無常の構造』を紹介させていただきます。
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拓海広志『信天翁ノート(4)』
(無断での転載・引用はご遠慮ください)
「無常」の構造―幽の世界 (1976年) (講談社現代新書)
- 作者: 磯部忠正
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1976
- メディア: 新書
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