拓海広志「『クジラは昔陸を歩いていた』に寄せて」 

 『クジラは昔陸を歩いていた』の著者・大隅清治さんによると、クジラの起源は白亜紀末(約6500万年前)の古地中海南西部に注ぐ川の河口部に生息していたメソニックスと呼ばれる肉食性哺乳類にたどり着くそうです。


 メソニックスはネズミ程度の大きさの動物で、彼らからウシやウマなどの偶蹄類も枝分かれしていったのですが、何故か彼らのうちの一部が突如として海に戻ってしまったといいます。


 肉食だった彼らが、草食の偶蹄類になるか、それとも魚を追って海に戻るかの二者択一を迫られた時のドラマに僕は思いを馳せるのですが、後者の思い切りの良さは羨ましいほどです。


 人間がクジラに対して様々な思いを抱くのは、そんな彼らへの羨望があるせいかも知れませんね。


 ※関連記事
 拓海広志『鯨の向こうに見えるもの(1)』


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