拓海広志「『光の島』に寄せて」
過疎化の進行によって子供の数が激減した南の島・唄美島が漫画『光の島』の舞台です。
唄美島に住む老人は、島の小学校を維持するための員数合わせに、都会で暮らす息子夫婦の子供・光を島に呼び寄せます。
光は唄美島の自然や暮らしに深く魅せられる一方、都会にいる両親を恋しがりながら、また大人たちのエゴをそれとなく理解しつつ成長していきます。
しかし、島の様子が雑誌で紹介されたことを契機に、都会で登校拒否になった子供たちや、児童養護施設の子供たちが、唄見島を目指すことになります。
僕は都会で暮らす人たちが南の島を「癒しの場」として一方的に利用する観光文化にある種の危うさと身勝手さを覚えることがあります。
本書はそうした問題を指摘しつつも、諸々の人間の思いやエゴすらも包み込んで溶解させるものとして、南の島の持つ治癒力を描こうとしているようです。
(無断での転載・引用はご遠慮ください)
- 作者: 尾瀬あきら,森口豁
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2001/12/01
- メディア: コミック
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