拓海広志「加山雄三 with 大友直人」

 加山雄三弾厚作)さんが日本の音楽界に与えた影響が一般に知られているよりも大きいことは、多くのミュージシャンの言動からうかがい知ることができます。


 クラシック、ロック、カントリー&ウェスタン、ハワイアン、ラテン、ジャズ、フォーク、演歌などと多彩なフュージョンやコラボをしつつも、どの枠にも収まらない「加山雄三という一ジャンル」(谷村新司評)を自然体で作り上げてしまったのが加山さんですが、指揮者の大友直人さんが言うように、その歌声はフルオーケストラをバックにしたときに一番大きな広がりを持つように思います。そして、今年はその大友さんが指揮するフルオーケストラとのコラボが実現しました。


 選曲、歌と演奏の内容、千住明さんをはじめとする編曲陣の編曲の豊かさ、そして会場のあたたかい雰囲気と、全ての面で素晴らしく、東京文化会館の45周年&加山さんの芸能生活45周年記念にふさわしい素敵なコンサートです。 


 また、今回は加山さんがお父さん(上原謙さん)のために作ったピアノコンチェルトを、弾サウンドの最大の理解者である羽田健太郎さんのピアノ演奏で聞くことができたり、ゲストの谷村新司さん、さだまさしさんと加山さんの息の合ったトークやデュエットがあったりと、見所、聞き所が多いです。


 僕は『海その愛』を聞きながら、その海が宇宙にまで拡がっていくような、そんな感動をおぼえました。


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