拓海広志「与那国島にて・・・」

 久しぶりに与那国島を訪ねて、海に潜った。与那国民俗資料館では、与那国島で生まれ育った館長の池間苗さんと半日話し込んだ。昔の与那国へは台湾経由で本土の文物が入っており、苗さんも頻繁に基隆や台北に出かけていたこと。そこで初めて汽車を見たこと。やがて空路で与那国と那覇が結ばれるようになったので、那覇経由で初めて北海道に渡り、アイヌの人たちと交流したこと。そこで互いの肌が黒いのを、「潮焼け」「雪焼け」と言って笑い合いながら、共通するルーツを感じたこと。与那国の人々の暮らしをめぐる苗さんの話はとても愉しく、聞いていて飽きることがない。浜風が吹いていたので、アダンの葉で風車を作って一緒に遊んだ。とても素敵な女性だ。


 ちなみに、苗さんのお父さん・池間栄三氏(故人)は与那国の郷土史家で、『与那国の歴史』という本もお書きになっている。また、苗さん自身も与那国の方言に関する本『与那国ことば辞典』をお書きになっている。苗さんが子どもだった頃、学校で与那国の言葉を使うと、方言札を首に掛けられて廊下に立たされたという。以前、ハワイアンのナイノア・トンプソンさんに会ったとき、ハワイでも昔は同じことがあったと話していたから、日本もアメリカもバカなことをしたものである。そんな経験をしてきた苗さんだけに、その与那国方言に関する本は実に味わい深い。その本を片手に、また与那国を訪ねてみたい・・・


【池間苗さん。一緒に作ったアダンの葉の風車】


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与那国の歴史 (1972年)

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与那国島海底遺跡・潜水調査記録

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老人と海 [DVD]

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