拓海広志「マウ・ピアイルックさんの訃報」

 ミクロネシア・サタワル島出身の航海者、マウ・ピアイルックさんが亡くなった。アメリカ建国200周年を祝して行われたダブルカヌー「ホクレア」のナビゲーターとしてハワイ〜タヒチ間の航海を成功に導き、ハワイのナイノア・トンプソンさんの師匠ともなった、海の英雄である。


 かつて、僕らが「アルバトロス・クラブ」のシングルアウトリガーカヌー「ムソウマル」にて、ヤップ〜パラオ間の石貨交易航海再現プロジェクト(通称「アルバトロス・プロジェクト」)を実施した際にも、「ムソウマル」のキャプテンを務めてくれたのはマウだった。


 その航海の際に、僕はマウとは沢山の話をし、その航海術を目の当たりにする機会も得た。また、共に飲み、食べ、語り、歌い、踊りながら、僕はマウの人柄に大いに惹かれた。どこにでもいる親父さんのたたずまいなのに、海の男の風格を感じさせるマウは格好良かった。そんなマウにもう会えないと思うと寂しい。そのご冥福を心からお祈りしたい・・・。


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【マウ・ピアイルックさんと共に。下の2枚はアルバトロス・カヌー「ムソウマル」】