拓海広志「スポーツ大好き!」
僕の家はちょうど東六甲の登山口に位置しているので、休日に家にいるときは六甲〜北山〜甲山の山道をブラブラと散策するか、ジョギングすることが多いです。また、自転車で西宮・芦屋浜まで出かけ、そこからカヤックで漕ぎ出したり、モーターボートでクルージングに出かけたり、はたまた浜で野球やサッカー、あるいはリモコン・ヨットの操縦に興じたりと・・・。それから震災を機に湯が湧き出した芦屋温泉で汗を流し、ビールを飲む。とまあ、そんなところが僕の休日の過ごし方です。
僕の人生においてスポーツは欠かせないものですが、僕は子供の頃から野外派だったので、小学校の低学年時代から海で泳いだり、潜って魚や貝を捕ったり、あるいは野山を探検して虫や小動物を捕まえたりするのが日々の遊びでした。それでも小学校の高学年になると多少は競技スポーツにも目覚めて草野球チームを作ったり、警察の道場に柔道を教わりに行ったりするようにもなっていました。
中学に入ると最初は野球部に入るつもりだったのですが、同部は当時何かの不祥事を起こしたとかで数ヶ月の休部状態。そこでひょんなことから入ってしまったバレーボール部から逃げられなくなり(笑)、結局中学〜高校の6年間はバレーボールに燃えることになってしまいました。高校時代はエースをやっていたためトレーニングでかなり身体を鍛え、垂直跳びでも1メートルほど跳べるようになっていました。
ちなみに、僕は卒業後も母校の高校でバレーボールのコーチをやりました。レベル的にはせいぜい兵庫県大会で上位に入り、近畿大会に出場できる程度でしたが、後輩達とワイワイやりながら練習に励んだり、夏にはカヤックとウクレレ、冬にはスキーとギター、そしてたまにオートバイの乗り方など、バレー以外の遊びまでたっぷり教えながら遊んでいたのは、今から振り返ると楽しい思い出です。
そんな風にバレーボールに明け暮れた日々ながら、僕は格闘技も好きだったので、高校〜大学にかけては柔道やレスリングにも励んでいました。特に柔道の関節技などは、時々街で喧嘩に巻き込まれたときなどに、相手を制止するのに役立ちました(当時の日本の学生はまだやんちゃだったのです)。
また、僕は高校時代からよく旅に出ていたのですが、旅道具としてカヤックと自転車は欠かせませんでした。そして、大学時代は毎日のように海に出ていましたが、遠泳から始まって、カッター、ボート、モーターボート、ヨットなど、一通りのことをやりました。ただし、サーフィンだけは経験する機会がなく(ボディ・サーフィンは好きですが・・・)、ウィンド・サーフィンもほんの少し齧った程度です。セーリングについては、何と言っても帆船「日本丸」で北太平洋を往復したのが最高の思い出ですね。
大学時代の僕はバックパッカーとしてオーストラリア&東南アジアを1年ほど旅したのですが、オーストラリアではダイビングショップやジャズバーでバイトをしながらレスキューダイバーのライセンスを取得しました。僕は明らかに素潜り派なのですが、たまにタンクを背負って潜るとそれはそれで楽しいですね。スキューバで潜った海はオーストラリアと日本以外では、ハワイ、フィジー、グアム、ヤップ、パラオ、ブナケン、サパルア、バンダネイラ、バリ、マイアミ、サンディエゴ、オマーン海などなど・・・。
大学を卒業した後の僕は、カヤックでの海峡横断(新潟の寺泊〜佐渡の赤泊など)、吉野・熊野での奥駈修験行、雪中での兎狩りキャンプ、淡路島の灘〜沼島の遠泳キャンプなど、自然体験と文化体験を融合させたイベントに参画する機会が増えました。また、ミクロネシアのヤップ島で帆走カヌーを作って伝統航海の再現プロジェクトを企画したり、東南アジア各地の山海を巡りながら文化的考察を行ったりと、競技スポーツからはすっかり離れてしまいました。
さらに最近は、自分が今まで海や河で体験してきたことや、多くの海人たちから教わってきたことを、自然・文化体験活動を通して子供たちに伝えていくという活動に力を入れるようになっています。僕は一応日本キャンプ協会に所属してキャンプ・ディレクターの資格も持っているのですが、これは自分の活動が独り善がりなものにならぬよう、協会の講習などに参加して色々な人の考え方ややり方を学ぶことが目的です。
そんな風に実践派・体験派の僕なので、スポーツ観戦という趣味はあまり持っていないのですが、猪木、坂口、藤波、長州、藤原選手らが全盛期だった頃の新日本プロレスには何度か足を運びました。試合もさることながら、試合前の会場で行われているトレーニングを観るのが好きだったのです。当時のアントニオ猪木なんかは試合前なのに千回近くスクワットをやったり、何十分間も色々な角度でブリッジをやっており、それを観ているだけで鬼気迫るものがありました。
野球の方は、子供の頃はON砲と江夏、星野、平松投手らの闘いに魅せられはしましたが、それはあくまでもテレビで観る世界であり、わざわざ球場まで足を運ぶことは少なかったです。球場へ行くようになったのは、オリックスにイチロー選手が登場してからのことで、彼のプレー・スタイルには惚れました。彼がマリナーズに移籍後も、僕は何度かシアトルでそのプレーを観ているのですが、今やアメリカでもイチローは「別格の選手」という扱いですね。素晴らしいことだと思います。
ところで、地元のチームでもあったので僕はタイガースにはずっと愛着を持っていたのですが、以前は阪神球団の体質に辟易していたために本格的なファンにはなれませんでした。しかし、星野さんが監督に就任してからの組織改革ぶり、そして選手たちの成長ぶりを見て一気に好きになりました。また、王さんが監督に就任して以来のホークスも好きです。お二人とも素晴らしいリーダーだと思います。また、北海道に移転し、新庄選手が加わった後の日本ハムも好きな球団になりました。
他の球技ではサッカーが好きなのですが、これもわざわざスタジアムまで観に行くことは滅多にありません。そんな中で僕はドイツ人の友人に誘われて一度だけミュンヘンのスタジアムに足を運び、目の前でオリバー・カーン選手のプレーを観たことがあります。ゴール前に立つ彼はほとんど動かないのですが、敵がシュートするボールの方が彼の腕に吸い込まれていく不思議を見て、一流のプレーヤーが持つ力量というものを知りました。彼もまた一種独特のオーラを身にまとった素晴らしい選手だと思います。
と、話があちらこちらへ飛んでいきましたが、やっぱりスポーツは楽しいですね。仲間たちとスポーツで思いっきり汗を流すのも最高ならば、子供たちの草野球や草サッカーでの爽やかなプレー、あるいはプロ・アスリートの高度なプレーに声援を送るのも素晴らしい。そして、それが終わった後の一風呂と、仲間と飲み交わすビールの快感。そんな人生の楽しみをこれからも大切にいきたいものです。
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