拓海広志「『涙そうそう』に寄せて」

 『涙そうそう』はBEGINのメロディー、森山良子さんの詞が共に素晴らしくて、僕の大好きな曲の一つです。それだけにこの同名映画の出来が少し気になっていたのですが、観てみると期待していた以上の内容でなかなか良かったです。


 母の再婚によって新しい父と幼い妹ができたのも束の間。義父の失踪、母の死によって、血のつながらない妹と二人で取り残された少年は、母の遺言に従い妹を守って生きていくことになります。


 南の島らしい大らかな優しさを醸し出したストーリー仕立てとも言えますが、成長した二人の感情が微妙に交錯する場面は下手な役者が演ずると下世話な雰囲気になりかねないところです。でも、この映画では主演の妻夫木聡さんと長澤まさみさんが爽やかに演じていて、とても好感が持てました。


 那覇の公設市場や食堂、居酒屋、町並み、海岸道路、万座のホテルと海、また兄妹が祖母に引き取られて過ごした伊是名島など、沖縄の風情にたっぷり浸れるのもいいですね。僕も伊是名を訪ねたことがあり、島の人たちの暮らしぶりに魅せられた一人ですが、この映画を観てまたゆっくり旅してみたいと思いました。


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